第185章

翌日、彼女はイシスの装いに身を整え、分身を伴って馬車で皇宮へ向かった。公爵家からはすでに連絡が入っている。門に着くころには、正門前に出迎えの人影が待ち構えていた。

公爵家の紋章が刻まれた馬車を認めるなり、男はぱっと顔をほころばせて駆け寄ってくる。

「おはようございます、イシス閣下。ご来訪、まことに光栄に存じます。宮廷総管のマルクでございます。どうぞ、マルクとお呼びください」

脇で詰めていた衛兵たちは目を丸くした。ふだんは鼻先で人を見下ろすような宮廷総管が、陛下以外の相手にここまでへりくだるなど――見間違いか、悪い夢か。そんな顔を並べている。

だがマルクにとっては当然だった。目の前にい...

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